書籍・DVDレビュー

【書籍レビュー】新版 魔術師たちの心理学

この記事の所要時間: 443

魔術師たちの心理学 –トレードで生計を立てる秘訣と心構え

(出版:パンローリング 著者:バン・K・タープ)

オススメ度:★★★★☆

概要

ブルベア大賞(個人投資家によるトレード書籍の人気投票)2008-2009年の大賞を受賞したロングセラー。著者のタープ博士は『マーケットの魔術師』にも登場するトレードコンサルタントの第一人者で、心理学者。NLP(神経言語プログラミング)の専門家であるタープ博士が、多数のスーパートレーダーたちをモデル化し、プロトレーダーになるための惜しみなく公開した渾身の一冊。「秘密を公開しすぎた」のキャッチフレーズも伊達じゃない!

構成

  • 第1章 聖杯伝説
  • 第2章 意思決定バイアス――市場をマスターするのが多くの人にとって困難なワケ
  • 第3章 目標の設定
  • 第4章 システム開発の手順
  • 第5章 うまくいく概念を選ぶ
  • 第6章 大局観に合ったトレーディング戦略
  • 第7章 優れたトレーディングシステムの開発に不可欠な6つの要素
  • 第8章 セットアップを使ってシステムの適用時を知る
  • 第9章 仕掛け(マーケットタイミング)
  • 第10章 抱え込むべきときを知れ――あなたの資産を守るには
  • 第11章 利食いの方法
  • 第12章 金はみんなに行き渡る
  • 第13章 システムの評価
  • 第14章 ポジションサイジング――目標を達成するためのカギ
  • 第15章 結論

感想

心理学者でもある著者のタープ博士は多数のスーパートレーダーたちにインタビューを行い、誰にでも真似できるようにモデル化した方です。やはり稼いでいる人たちにはそれなりの共通点があるだろうから、それを真似すれば稼げるトレーダーになれるに違いない、ということで、その秘訣を公開してくれます。日本語タイトルが『魔術師たちの心理学』なので、主にプロトレーダーたちのメンタル面にスポットを当てた内容だと思われがちですが、内容は資金管理からトレード手法など多岐に渡り、いわゆるメンタル本ではありません。

中身を覗いてみると、システムの開発に関する内容であることがわかりますが、自動売買のプログラミングが必要なわけではありません。こういった海外の投資本の中には「システム」という言葉が多く登場しますが、それは「売買ルール」とか「手法」と読み替えることができます。つまり、自分の売買ルールを決めたら、それに従って機械的に運用することが前提となっているので、自動売買プログラムであっても手動売買のルールであっても同じ「システム」です。システムに組み込まれるのは、エントリーや決済の条件から資金管理・メンタルに至るまで、要するにトレードに必要な要素すべてについて網羅されている一冊です。

特定の手法を推奨するのではなく、様々な手法を網羅的に紹介しています。重要なのは「自分に合ったシステムを作ること」であって、他人が儲けている手法を真似したからといってうまく行かない。あくまで自分でシステムが作れるようになるための土台を築くことに重きが置かれています。

最も印象的だったのは、以下の一節。

すべての物事には必ず良い面と悪い面が存在する。トレードにも利益もあれば必ず損失もある。金を稼ぐためには、少しでも損失を少なくし、利益を大きく伸ばすこと以外にない。

私も騙されたことがありますが、異常に高い勝率を売りにしている自動売買システムやセミナーなどは詐欺です。スーパートレーダーたちは勝率の高いシステムを開発して大儲けしているのではなく、損小利大になるように内面をコントロールしている成果なのです。

タープ博士の教えは目から鱗で、今までうまく行かなかったのはそもそも考え方が180度違っていたのだと思いました。日頃エントリーばかりに気を取られ、勝つも負けるもエントリー次第。なかなか勝てないのはエントリーが悪いからだと思い込んで、必死にMT4のインジケーターを探し求めていましたが、エントリーはさほど重要ではないとタープ博士は言います。エントリー以上に重要なのが、タープ博士の代名詞でもある「R倍数」や「ポジションサイジング」です。この概念は、私のトレードに欠かせない要素となっております。これほど重要なことなのに、日本では誰も教えてくれません。

平均的な日本人FXトレーダーにとって、この本に書かれている内容は気軽には受け入れ難いでしょう。少なくとも、初心者が期待しているようなことは少しも書かれていません。この本の重要性に気づくのは、すでに結構な授業料を相場に払った後なのではないでしょうか(私も耳が痛いですが)。

あえて難点を挙げれば、学者特有の冗長な書き方で、余計(と思われる)なことまでたくさん書かれていること。重要なエッセンスを吸収する前に、読むことに挫折しそうです。FXなどのトレードだけでなく、投資全般が対象となっているので、株式のバリュー投資や投資信託の売買についても書かれています。関係ないと思う章は思いきって飛ばして読むようにしましょう。

それにしても、これだけの分量の翻訳本にしては、価格もお手頃です。すぐには内容が身に染みてこないかもしれませんが、全てのトレーダーにとって、手元に置いておいて損はない一冊です。

姉妹本のレビューはこちら↓

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