書籍・DVDレビュー

【書籍レビュー】トレンドフォロー白書

この記事の所要時間: 450

トレンドフォロー白書  分散システム売買の中身

(出版:パンローリング 著者:アンドレアス・F・クレノー)

オススメ度:★★★☆☆

 概要

彼ら(CTA)について書かれた本は多いが、読者が彼らの成功をまねて、自らトレンドフォロートレードによるビジネスを立ち上げることができるほど彼らの戦略を詳細に説明している本はない。

タートルズのトレード法としても知られるのがトレンドフォロー戦略ですが、過去30年以上にわたって、トレンドフォロー戦略を駆使して高いパフォーマンスを上げ続けているヘッジファンドが多数あります。本書は、経験豊富なヘッジファンドマネージャーが綿密な検証と実際のトレード記録を紹介しながら、トレンドフォロー戦略の詳細を明かしていくものです。ビジネスとして資金を運用するレベルを想定して書かれた、まさにトレンドフォロワーの教科書といえる内容です。

構成

  • 第1章 先物を使ったクロスアセットのトレンドフォロー
  • 第2章 先物データとツール
  • 第3章 分散された先物トレード戦略の構築
  • 第4章 2つの基本的なトレンドフォロー戦略
  • 第5章 トレンドフォローのパフォーマンスの徹底分析
  • 第6章 年ごとの分析
  • 第7章 大手ヘッジファンドのリバースエンジニアリング
  • 第8章 戦略の改良
  • 第9章 先物トレードの実務
  • 第10章 最後の注意点

感想

原題は『Following the Trend』、そのまま「トレンドを追うこと」といった意味ですが、『トレンドフォロー白書』とした邦題はタイトル付けが下手なパンローリングにしては上出来だと思います。「白書」というのは政治社会経済の実態や政府の施策の現状などをまとめた刊行物のことを指しますが、過去20年分のトレンドフォロー戦略のパフォーマンスなどを詳細にまとめた(第6章)上で、トレンドフォロー戦略の有用性を明らかにする内容は、まさに「白書」のような客観的説得力がありました。

本来、成功しているヘッジファンドマネージャーなどがその手法を明かすことはありません。本書の序文を書いているカーティス・フェイス氏は、門外不出の情報を暴露して破門された元タートルズのメンバーです。しかし、本書はそういった暴露本ではありません。また、プロの戦略をそのまま紹介した上で、「誰にでもプロのトレードができるようになる!」という内容の本はたいていが胡散臭いものであり、紹介するに値しない場合がほとんどですが、そんな類の本でもありません。「簡単に大儲けしたければ、他をあたった方がいい」とも書いているように、トレンドフォロー戦略を実践することには多大な努力と忍耐を要することだと分かります。

読んでみれば、その意味はすぐに分かります。目から鱗でした。

まず、手法はまったく重要ではない。手法自体は細かく紹介されますが、いたってシンプルなもので、目新しさはありません。他の本にも書かれているような手法です。トレンドフォローの手法であれば、どんな手法であっても成績に大差はない。だから、秘密にされているヘッジファンドの手法も、本で紹介されているシンプルな手法でコピーが可能、ということ。

では、何が重要なのか。ズハリ、分散しつつ、機械的にトレードすること。「一つの市場だけで一つの戦略を行うのは、自殺行為」だそうです。もともとトレンドフォロー戦略は勝率が低いのを損小利大で補うもの。FXだけでこの戦略を行っても、たまたま為替市場にトレンドが出やすい時しか勝てないことになります。通貨・株式指数・債券・農産物・非農産物の5市場に分散し、あとはひたすらサインが出たらエントリー。こうしてトレンドが出ている市場でしっかり稼いで損失を補うのです。

タートルズDVDでトレンドフォロー戦略を学んで実践していますが、基本的に資金管理やポジションサイジングの手法については同様のことが書かれていたので、手法の正当性を再確認できました。それと同時に、タートルズの手法で自分と合わない部分などを修正する材料としても、とても参考になりました。DVDではさらっと流されていることが、本書では強調されていたりと、うまく基本と応用の関係になっています。

トレンドフォロー戦略については、”昔は通用したけど、今は通用しない手法”とまことしやかに囁かれていますが、本書では、その原因についても深く考察しています。一つは現代では流動性が増えて動きが速くなったこと。もう一つは低金利時代の影響で、稼ぎ頭だった債券先物であまり利益が出なくなったこと、だそうです(二つ目については、いつまでも低金利の時代が続くわけではないので、今後も同様であるかは分からない)。それを踏まえた上で、本書ではトレンドフォロー戦略は現在でも変わらず通用する手法であると断言します。

経済が動いている限り、必ずトレンドは発生するのだから。

まとめ

トレンドフォロー戦略の教科書として、まさに正統派の内容。検証や過去20年分の成績といった客観的データのおかげで、トレンドフォロー戦略の有用性に説得力がある。今後も続けてみようかというモチベーションに繋がります。上記のDVDの内容を補完する意味でも、とても参考になりました。オススメ度で★が3つなのは、トレンドフォロー戦略をやっていない人にとっては参考になる情報が少ないからです。かなりターゲットが狭い本ではあります。

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